スレート土壌の急斜面の畑から生まれるモーゼルらしいリースリング

キーステン醸造所はモーゼルの地で何世代にも渡り、家族経営でワイナリーを営んできました(2018年よりワイナリー名がschlossgut liebiegと変更されました。)。一昔前、モーゼルにはブドウ畑を所有しながらも畜産を営む小規模な農家が多く、キーステン醸造所もその一つでした。1992年に現当主であるベルンハートに世代交代し、当時わずか3haだった畑は徐々に拡大し、現在は27haを所有。多くの畑は中部モーゼルにあり(幾つかの畑はを下部モーゼル(テラッセンモーゼル))、全てが急斜面の畑となっています。土壌は異なる時代のスレートからなり、主に青色のデボン紀スレートが多く、スレートが風化して非常に細かくなった土壌もあれば大きなスレートの塊が多く見られる区画もあります。この土壌からは非常にミネラル感が強く、塩味や火打ち石のような乾いた味わいがワインに現れます。リースリングに加えてピノ・ブラン、ピノ・グリ、ピノ・ノワール、ソービニヨン・ブランを栽培しており、間もなく他のブドウ品種もポートフォリオに含まれます。

栽培・醸造

冬における剪定は、ブドウ樹へのストレスを減らすために、葉が落ち切った後に行われます。春以降、摘穂、摘芯や除葉などの作業は手作業で、年によってはブドウ樹一本あたり3回ほど処置が行われます。収穫も手作業で、健全かつ熟した果実のみを使用するため、区画毎に概ね3回に分けて収穫、収穫量は5000L/ha以下に抑えています。醸造においては、全てのワインは野生酵母で発酵。ワインのアロマを十分に引き出すためにも、発酵はゆっくりと継続させることを特に意識しています。ベルンハートは実験好きで、マセレーションの時間を変えてみたり、全房発酵を行ったりと、自分が目指す味わいを実現するために試行錯誤を重ねています。例えば、2019年のヴィンテージには初めて花崗岩からできた熟成タンクを使用する予定で、今後もこのような取り組みは増やしていきたいと言います。