ピコネC.H.Piconnet各地での修業を活かし、最高品質のブドウ造りにこだわる注目生産者ピコネはコート・デ・バール中部のヌーヴィル・シュル・セーヌ村に7.5haの畑を所有する注目の生産者の一人です。当主のクレマン氏はアヴィーズで2年間勉強したのち、スイスで3年間栽培や醸造を学び、ブルゴーニュのティボー・リジェ・ベレールでも修行を重ね、2009年に戻ってきました。2013年までネゴシアンにブドウを販売していましたが、自分たちが思い描くシャンパーニュを生産するために2014年にワイナリーを創設。クレマン氏は最高品質のブドウ造りを目指しており、東向きの畑は50~80%の葉を取り除きブドウに朝日を浴びせるのに対し、西向きの畑は西日でブドウが焼けるのを防ぐために敢えて葉を残すなど、スイスやブルゴーニュでの学びを畑で実践しています。また、年間6万本以上は生産できるポテンシャルを持っていますが、厳しい選果に加え、最上の果汁のみを自社で使用しているため、現在の生産量は非常に少なく希少です。収量を落とすことで糖と酸を凝縮させ、アルコール発酵はステンレスタンクのみで行い果実味をしっかりと保っています。一番搾りの果汁のみを使用することで、フレッシュな酸が維持され、マロラクティック発酵をしているにも関わらず高い酸を保持します。ピノ・ノワールのリッチな味わいの中にも張り、ミネラル、酸のバランスが取れたワインを造り出しています。 大手メゾンも一目置く、果実味豊かで高品質なピノ・ノワール産地ピコネの本拠地はシャンパーニュの中心地より南東に約90km程離れたところに広がり、ブルゴーニュ地方と隣接しているエリアであり、マルヌ地区よりシャブリ地区のブドウ畑の方が近い位置にあるという特殊な産地です。シャンパーニュでは比較的温暖で、シャブリから春に吹く冷たい風の影響で涼しいエリアも存在します。土壌は近くのシャブリ地区と同じキンメリジャン土壌が大部分を占めており、作付け比率はピノ・ノワール85%、シャルドネ8%にムニエ7%と圧倒的にピノ・ノワールが植えられています。というのもコート・デ・バールで収穫されるピノ・ノワールは果実味が豊かで高い品質を誇り、大手メゾンもコート・デ・バールのピノ・ノワールのクオリティは無視できない程です。グラン・クリュやプルミエ・クリュに指定されている村はありませんが、近年クオリティが高まっており優良生産者が続々誕生している、注目を集めている最先端のエリアです。 コート・デ・バールの新世代の生産者たちは、伝統にとらわれない新しい視点をワイン造りに取り入れ成長してきました。北部とは異なる歴史を歩んできたコート・デ・バールだからこそ、自由で想像力溢れるシャンパーニュが誕生しています。コート・デ・バールはもはや発展途上の地域ではなく、世界中のシャンパーニュ愛好家たちを惹きつける魅惑的な地へと変貌しています。2018年には「Empreintes(アンプラント)」というコート・デ・バールの若い世代が集まったグループが発足し、ピコネもこのグループに所属しています。それぞれのワイナリーが土壌を解釈して造り上げるワインを、伝えていくという目的で作られたこのグループはジャンシス・ロビンソンの目にも留まり、新たな試みをしているグループとして紹介されています。ピコネは2017年に最初のシャンパーニュをリリースした新しいワイナリーのため、今はまだメディアに大きく取り上げられてはおらず、まさに掘り出し物の新規生産者といえます。コート・デ・バールの品質に世界中が関心を寄せているなか、ピコネにも注目が集まることは間違いなく、今後の活躍に目が離せない、絶対に手に入れるべき生産者の一人といえます。 |
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