ジラール・ボネGirard Bonnet自身のルーツに敬意を表し誕生した新生ドメーヌシャンパーニュ・ジラール・ボネは1995年生まれの若きワインメーカー、ポール・ジラールによって2018年に設立されたレコルタン・マニピュランです。まだ駆け出しのドメーヌですが、所有する合計12haの畑のルーツは古く、かつて存在した父方のジラール・ワイナリー(ル・メニル・シュール・オジェ)と母方のボネ・ワイナリー(オジェ)の畑によって構成されています。珠玉のグラン・クリュ2村と、高品質のシャルドネで名高いプルミエ・クリュ、ヴェルテュ村に畑を有し、ブドウ樹の平均樹齢は50年と、きわめて堅固なバックボーンを誇ります。 ポールは若いながらに明確なビジョンを持つヴィニュロンであり、かねてよりこの素晴らしいルーツを1つにしたドメーヌ、ジラール・ボネ設立の構想を練っていました。アヴィズで栽培・醸造を学んだ後、オジェでオーガニック栽培を実践しているワイナリー、ヴォーヴェルサンの元で1年間学び、栽培はもちろん、土壌へのアプローチ、発酵・熟成容器の選択などを実践的に学んだ。この経験からオーガニック栽培への確信を深めたと語る彼は、学んだ事を踏まえ、早く自身の持つ色々なアイディアに挑戦したいと弱冠23歳にしてドメーヌ設立に踏み切りました。 オーガニック&ビオディナミ認証を取得
ポールは『良いワインは健全なブドウから』を、ドメーヌの信念としています。栽培では、先代の父の時代から除草剤の使用を段階的に廃止しており、2023年にはオーガニック&ビオディナミ認証を取得。病害対策にはハーブティーやエッセンシャルオイルを用いて、ブドウ樹が自然に成長するために必要なものだけを与え、畑を健康に保つためにエコ・パスチャーという羊や牛などの家畜の力を借りた植生管理・維持を導入。「各区画の土壌の理解が自分の一番の関心事で、多くの研究とテストを行ってきた」と話すポールは、各区画の土壌タイプや樹齢、日照条件などを注意深く観察し、それぞれに合わせたアプローチを取ることを大切にしています。例えば、ある区画の表土が深い場合、土中の水分や栄養分が十分にあるため畑に生える植物はそのままにするが、表土が浅い区画の場合、ブドウ樹と植物の間で競合が発生し、さらに土壌がコンパクトになりやすいので機械ではなく馬を用いて耕作し、草生をコントロールしています。
醸造における並々ならぬ情熱と哲学醸造においても各区画の個性を深く理解するため、区画毎に分けてブドウを圧搾、自然酵母で発酵・MLFを経た後に、最低でも10ヶ月の熟成期間を設けます。その後、清澄・濾過をせずに二次発酵を行い、各キュヴェに合わせた瓶熟期間を取ります。以前のセラーには十分な設備とスペースがありませんでしたが、2022年に新設したセラーには、スペースに加え、ポールが必ず導入したいと決めていたグラビティフローと、冬の寒さを利用するコールドシステムが備わりました。後者は、冬季にセラーの扉を全て開けて、室内を摂氏0度にしてからドアを密閉し、機械を一切使用せず年間を通して一貫した室温を維持する方法です。春から夏にかけて毎月1〜2度ずつ温度が上がっていくので、7月のアッサンブラージュと瓶内二次発酵を行うタイミングでは理想的な15度程度に近づくといいます。このシステムは誰から教えられたものでもなく、自身の理想とするワイン造りを考えたときに頭に浮かんだアイディアを考察し、形にしたものだといい、セラー一つをとっても、ポールの並々ならぬ情熱や哲学が感じられます。 2024 注目すべき5つのCote des Blancsの生産者に選出デキャンター誌では「2024 注目すべき5つのCote des Blancsの生産者」に選出。ル・メニルの新星ジラール・ボネのワインはどれも非常にクリーンかつ緻密で活力に溢れています。コート・デ・ブランの精神を脈々と受け継いでいる注目すべき若手生産者です。 |
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