グリーゼルGrieselドイツのシュペートブルグンダーがブルゴーニュのピノ・ノワールと比較されるように、ドイツのゼクトが飲まれる際、シャンパーニュという名前は常に付いて回ります。シャンパーニュが大きく注目される中、ドイツのゼクトがいつも舞台の袖に立っていることはニコ・ブラントナーにとって疑問であり、克服すべき課題でもありました。グリーゼルは、ニコを代表とし2013年に新たなスタートを切ったゼクト生産者です。 グリーゼルはドイツ最小の産地「ヘシシェ・ベルクシュトラーセ」(440ha) にあるワイナリーです。ベンツハイムという中世都市に使われなくなった古い国営のゼクト醸造所がありましたが、2013年にベンツハイム在住の私人であるシュトライト氏が買収し、当時醸造学校を卒業したばかりのニコ・ブラントナーを代表として発足した小さなゼクト醸造所です。 知り合いであった二人は、ドイツにおけるゼクト産業が工業化され過ぎているという問題意識がありました。土壌とブドウ樹が本来備えている力を信じ、それをサポートすること。畑仕事から瓶詰めまで、徹底した不介入主義を貫くことを信条に、これまで国内で見られなかったようなワインを造るベく二人は力を合わせることにしました。最初の2年間はブドウを買い付けていましたが、その試験期間が終わった2015年のタイミングでヘシシェ・ベルクシュトラーセにある畑を購入し、自社畑に移行しました。 ヘシシェ・ベルクシュトラーセの畑は、オーデン森の淵に主に西向きに広がり、西から来る温かい気候と東から来る森の冷気がぶつかる場所にあります。またオーデン森には花崗岩を主体とする火山性土壌が広がっており、土壌がとても痩せているためワインのPH値が低くなります。ブドウがしっかりと熟す要素と、引き締まった酸が形成される要素があるヘシシェ・ベルクシュトラーセはゼクト造りにとても向いている土地だと言うことができます。 グリーゼルでは、畑になるべく手を触れないことと、健全なブドウの選果を特に重視しており、その他の工程では比較的レッセフェールです。まだ、立ち上げて間もないワイナリーですが、ドイツのゼクトの将来を担う若手としてとても注目されています。 |
グリーゼル Griesel
絞り込み