シャトー・ド・ラ・マルトロワChateau de la Maltroyeモダンを愛する当主が造るクラシックなワインシャサーニュ・モンラッシェ村中央のブドウ畑を見下ろす場所に位置するシャトー・ド・ラ・マルトロワの歴史は、1940年、先代ダニエル・ピカール氏が15世紀に造られたシャトーを購入したところから始まりました。1970年代まではワイン造りを他の醸造元に任せていましたが、80年代からは自分たちで醸造を行っています。そして1992年に孫であり現当主のジャン・ピエール・コルニュ氏が栽培・醸造責任者になってからは高い評価を受けるようになり、現在ではシャサーニュ・モンラッシェを代表する造り手となっています。 当主のジャン・ピエール・コルニュはモダンアートの愛好家で、事務所や庭にはそのコレクションが並び、シャサーニュ・モンラッシェ村の中で異彩を放っています。ワインもモダンで個性的なのかと思われるかもしれませんが、実験的にアメリカン・オークを使ったり、バトナージュを多く行ったりという過去を経て、現在はクラシックなシャサーニュ・モンラッシェに回帰しています。ワインのエチケットは先代から変わらずとてもクラシックなものでしたが、2009年ヴィンテージからはデザインががらりと変わり、モダンでアートな新しいエチケットへの移行が始まっています。 彼の造る赤ワインは、シャサーニュ・モンラッシェならではのタンニンのプレゼンスがありますが、そのタンニンはよく熟していて旨みがあり、赤い果実の風味とのバランスがとれています。プルミエ・クリュ以上はクリュごとにテロワールを反映し、例えば看板畑のモノポール、クロ・デュ・シャトーは当主によれば「シャサーニュ・モンラッシェの王道ではなく、エレガントで軽やか、シャンボール・ミュジニィ的」だそう。白ワインの看板はやはりシャサーニュ・モンラッシェで、ミネラリーですがお隣のピュリニィ・モンラッシェとは異なり骨太でボディがあり、重心の低い余韻が長く続くきます。なおブルゴーニュでは若い白のグラン・ヴァンをデキャンタージュするのは異論がないところですが、赤ワインについては否定する人も多い中、彼はためらわずカラフェに入れることを勧めています。この姿勢だけは彼のモダニズムを反映しているのかもしれません。 ☆1級畑ラ・マルトロワの中にあるモノポールの区画クロ・デュ・シャトー。ドメーヌのシンボルともいえる畑で、シャトーの建物の前に広がります。このシャトーのみがyのついたMaltroyeの表記ができる(他はMaltroie)。モノポール2.8haのうち6割がピノ・ノワール、4割がシャルドネで赤白2つのワインが造られています。 |
シャトー・ド・ラ・マルトロワ Chateau de la Maltroye
絞り込み