ジャン・フィリップ・フィシェDomaine Jean Philippe Fichet白ワインの神様「コシュ・デュリ」の哲学を継承するムルソーのTOP生産者ブルゴーニュにおいて「天才、奇才、アーティスト、伝説、究極」といった形容詞で語られる造り手は長い歴史の中で多数輩出されてきましたが、「神様」という形容詞が使われたのはアンリ・ジャイエとコシュ・デュリのわずか2生産者のみ。 そのコシュ・デュリの甥にあたり、自身もまたムルソー村に本拠地を置く、次世代ムルソーを牽引する造り手「ジャン・フィリップ・フィシェ」。「完璧な造り」を信条とするフィシェのワインは元々素晴らしい味わいでしたが、2000年に新しい醸造所を建造した頃から、飛躍的に品質が高まり注目を浴び始めました。コシュ・デュリ同様、澱引きをせずにシュール・リー状態で長期間の樽熟成をさせる伝統的スタイルで、厚みのある酒質にミネラルや酸が綺麗に表現された美しいワインを生みだします。 21歳から築きあげてきた情熱のワイン造りフィシェ家のワイン造りの歴史は祖父の代よりスタート。3代目となるジャン・フィリップ氏は、1981年、若干21歳という若さで、ボワイヨ家との分益耕作の畑を父より引継ぎ、自身で現ドメーヌの基となるワイナリーを設立しました。叔父であるコシュ・デュリの教えを受けながら順調にワイン造りをすすめ、その後もヴォルネイなど分益耕作の畑を追加していきましたが、1991年にはほとんどの契約が切れてしまい絶望に襲われます。しかし彼の情熱は衰えず、翌92年にはモンテリーやムルソーに2haの畑を入手。その後も着実に畑を増やし、97年、父の引退に伴い、ピュリニィ・モンラッシェ1級畑レ・ルフェールを含む、ムルソー、ACブルゴーニュの区画も獲得しました。 ミネラルを追及し続けた、神の領域とも言える「真のムルソー」80年代、アメリカで起きたシャルドネブームの頃に人気を博したムルソーは、樽のきいたリッチな味わいのものが主流だったこともあり、ムルソーときいて「バターのようなこってり濃厚な風味のワイン」を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかしムルソーの土壌は、白色泥灰土を含んだ石灰岩層で構成されており、ピュリニィ・モンラッシェやシャサーニュ・モンラッシェと並び、素晴らしいミネラルに富むテロワール。TOP生産者と言われるコシュ・デュリやコント・ラフォン、ルーロのワインがそうであるように「地中深くからミネラルを存分に吸い上げた、強烈なミネラルのワイン」がムルソーのテロワールを忠実に表現した「真のムルソー」なのです。 「近道」を嫌い、「究極の完璧主義こそがテロワールを反映できる」と確信するジャン・フィリップ氏は、20年以上もの間、真のテロワールと真摯に向き合い、ミネラルを追及してきました。そして今、長い時間をかけて丁寧に無農薬で育ててきたブドウ樹が深く深く根を伸ばし、目が眩むほどの透明感と複雑なミネラル、直線的な酸を備えた「神の領域」とも言えるワインを生み出しています。年々その完成度や研ぎ澄まされた味わいの輪郭は確実に増しており、円熟の境地へと向かっています。 |
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