フランソワ・カリヨンFrancois Carillon念願の独立を果たしたドメーヌルイ・カリヨンといえば、ルフレーヴやソゼと並ぶピュリニィ・モンラッシェ屈指の造り手で、ブドウ栽培農家としての歴史は1632年まで遡ります。先代ルイの引退に伴い、2010年にドメーヌは兄弟ふたりの間で分割され、次男のフランソワが起こしたドメーヌがフランソワ・カリヨンです。ワインを寝かせておくカーヴは曽祖父が使っていたもので、1520年に掘られたものです。1988年から父を手伝い、醸造を担当する兄ジャックの傍ら、おもにブドウ栽培に専念していたフランソワは、次第にビオロジック栽培へと傾倒します。現在、自身のドメーヌのブドウ畑では除草剤を一切使用せず、トラクター、また場所によっては馬を使って土を鋤き返しています。2014年には「La Revue du Vin de France」にて、ブルゴーニュで最も偉大な50ドメーヌに選出され、ますます注目を集めています。 クリマごとに入念な醸造を実践し、バランスを重視した熟成法当然ながらドメーヌのポートフォリオはピュリニィ・モンラッシェが中心です。1級にはコンベット、ペリエール、シャン・ガン、ルフェール、フォラティエールを所有。ルイ・カリヨン時代の特級畑ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェは、兄のジャックに譲り、新たにわずか1ウーヴレ(4a)ながらシュヴァリエ・モンラッシェを取得しました。また、隣接するシャサーニュ・モンラッシェやサン・トーバンにも畑を所有するほか、コート・シャロネーズのメルキュレイもラインナップします。合計6.5haの所有畑はブルゴーニュでは標準的な規模ですが、3ha近くを村名ピュリニィ・モンラッシェが占め、その他のクリマはどれも数アールから大きくても0.5ha止まりです。だからこそ、クリマごとに入念な醸造が可能となっているのです。 赤ワインも少量造ってはいるものの、ドメーヌの真骨頂はやはり白ワイン! 村名以下はステンレスタンクで発酵後、小樽熟成を施し、1級以上は小樽発酵・小樽熟成を行います。いずれの場合でも酵母は添加せず、自生酵母による自然発酵を待ち、4~6週間をかけてゆっくりと発酵させます。その後のマロラクティック発酵もスターターを加えないため、乳酸菌の働き次第。年によっては気まぐれで起きないこともあるそうです。クリマごとに新樽率は異なり、ピュリニィ・モンラッシェの1級で25%、村名やサン・トーバン1級で10%前後。樽熟成期間は12カ月に留め、その後、ステンレスタンクに移して6カ月の熟成を続けます。澱との接触は長めにしつつ、樽香は抑えるという、バランスを重視した熟成法です。 |
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