ドメーヌ・ド・ラ・ボングランDomaine de la Bongran飲み頃を迎えてからリリースされるこだわりのマコネ15世紀からテヴネ家が所有しているドメーヌ・ド・ラ・ボングランは、マコネ地区のヴィレ村とクレッセ村の間にあるカンテーヌ村に位置しています。現当主のジャン・テヴネ氏と息子のゴーティエ氏が2人3脚で運営しており、代々継承されてきた伝統的な手法で栽培・醸造に取り組んでいます。ドメーヌ名の"Bongran"は"Bongrain(良いブドウの粒から造られるワイン)"に由来。飲み頃になるまでは出荷をしないため、市場に出されたものはすぐに飲める状態となっていますが、デキャンタを行うことでより一層味わいが豊かになります。 ジャンとゴーティエのテヴネ父子はそろって柔和な顔つきでいかにもマイペースな風貌ですが、決して変わり者らしき匂いはしません。しかし、手掛けるワインは、マコネなのに3年熟成させてから出荷させる。マコネなのに貴腐ブドウでワインを造る。マコネなのにハーフボトルに入った94年ヴィンテージの貴腐ワインを15年経って初めてリリースする。さらには「ウチではマロラクティック発酵が終わってから再びアルコール発酵が始まる」と語ります。どう考えても常識外れのワイン造りをしている父子から変わり者の鋭いオーラが出ていないのは、彼らにとってはこれが当たり前のことだから。「人為的なことをせずに果汁をそのままにしていたら寒すぎてアルコール発酵が終わらず、春が来たら先にマロラクティック発酵が始まってしまうだけ。今はワインを「制御」することが当たり前になっているけど、昔の人にとってはこっちが当たり前だったんだ」という独自のアイデンティティをもつゴーティエは、まだ若いにもかかわらず、すっかり先祖代々の教えを継承しています。周囲からは変わり者扱いをされ、ヴィレ・クレッセのAOCを使わせないためにアルコール度数の規定を変えて(ボングランはこの地方としては度数がやや高め)、マコン・ヴィラージュに格下げさせられたというエピソードもあります。世間では商業的思惑でビオを声高に謳う生産者も多い中、テヴネ父子は当たり前のように有機栽培を行っています。ジャン・テヴネ氏の柔らかい手は、貴腐化をもたらす泥灰質土壌のようにふかふか。凄いワインを造っているのに力みがなく、伝えようという欲もありません。「ゆっくり飲めば説明しなくてもわかるよ」とテヴネ父子。じっくりと味わいたいマコネです。 ビオロジック農法を導入した丁寧なワイン造り認証は取得していなかったものの、長年除草剤や化学肥料を一切使用しないビオロジック農法を実践しており、2009年にはエコセールの認証を取得しました。除草剤を使わない代わりに何度も鋤入れを行っている畑の土は、足が沈むほどの柔らかさ。ブドウの収穫は、完熟しているかを確認しながら複数回に分けて手摘みで行っています。セラー横にある畑は粘土石灰土壌で、この畑のブドウからキュヴェ・トラディションが造られています。その上の斜面は泥灰質土壌で、ソーヌ河で発生する霧の湿度を吸収し保つ性質があるため、ボトリティス菌の発生をもたらします。そのため、キュヴェ・EJ・テヴネ、キュヴェ・ルヴルテ、キュヴェ・ボトリティスがこの畑のブドウから造られます。醸造に関しては、出来るだけ長い時間をかけて発酵することが好ましいと考え、アルコール発酵は10~18度の低温でゆっくり行っています。澱との接触面が広くなるよう細長いステンレスタンクか古い大樽を使い醸造。長い発酵期間中に発酵が止まってしまった場合でも、人口酵母を使わず別のタンクに移し変えるなどして、天然酵母の活動を促しています。その後、マロラクティック発酵を3~4カ月、ステンレスタンクで熟成させます。補糖、補酸は一切行っていません。こうしてじっくりと時間をかけて行なわれるワイン造りのため、このドメーヌのワインが市場に出るのは、他のドメーヌより2年程遅くなります。 |
ドメーヌ・ド・ラ・ボングラン Domaine de la Bongran
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