アントワンヌ・ジョバールAntoine Jobardミネラルを基調とした緊張感を伴うエレガント系ムルソー比較的ぽっちゃりと若いうちから楽しめるものが多いムルソーにあって、ミネラルがビシッと一筋、背骨のように支えるのがフランソワ・ジョバールのワイン。息子アントワンヌの時代に入り、長期熟成という父のポリシーを尊重しつつ果実味を充実させ、瓶詰めからほどなくしても味わいやすいタイプへと進化しています。父から子への移譲は進み、ラベル上のドメーヌ名は2002年にフランソワ・エ・アントワンヌ・ジョバール、そして2007年以降はアントワンヌ・ジョバールへ変わりました。 ドメーヌは全部で6haのブドウ畑を所有し、すべての畑にシャルドネが植わっています。以前はブルゴーニュ・ルージュとブラニー1級ラ・ピエス・スー・ル・ボワを造っていましたが、前者は2003年、後者は2007年に植え替えました。ラインナップは村名ムルソーが2クリマ(アン・ラ・バール、ティエ、ムルソー1級が4クリマ(ブラニー、ポリュゾ、シャルム、ジュヌヴリエール)、それに村名ピュリニィ・モンラッシェ・トレザンです。認証は得ていないものの、畑は事実上のビオロジックであり、除草剤や殺虫剤など化学合成された物質は一切使用していません。収穫したブドウは圧搾後、3~4時間のデブルバージュをすることにより不純な雑味を取り除きつつ、上質の澱を混ぜたワイン醸造が可能となります(父フランソワの時代には、デブルバージュを一切していなかったという)。そして小樽で発酵。新樽率はフランソワの10%からわずかに増え15%となっています。控えめにバトナージュを行い、樽熟期間は18カ月。年によっては2年近く寝かせる場合もあります。開くのに何年もかかったフランソワ時代と比べればはるかに寛容になったとはいえ、アントワンヌ・ジョバールのムルソーは、ミネラルを基調とした緊張感をつねに伴います。白ワインにエレガンスを求める通人にこそおすすめしたい造り手なのです。 |
アントワンヌ・ジョバール Antoine Jobard
絞り込み