ポムロール最上のテロワール! |
シャトー・クリネChâteau Clinetブレンド比率:メルロ80%、カベルネ・ソーヴィニョン10%、カベルネ・フラン10% ワインの品質についてよく言われ、人に訴える力のある議論のひとつに、ワインに独自の個性を与えるブドウ畑の土壌という、魔法のような意味の言葉「テロワール」の概念がある。しかし、ポムロルの丘の頂に(ラフルールやペトリュスなどのスーパースターから1km も離れていない、レグリーズ=クリネのすぐ隣)見事な「テロワール」を実際に持っているクリネは、高品質のワインをつくり出すには、単に畑の土壌を頼りにするよりも品質に対する人的な関与の方が大きな影響力を持ち得るということを、一人の献身的な青年が証明して見せた一例である。 私が言っているのは、所有者のジョルジュ・オーディの娘と結婚したジャン=ミシェル・アルコートのことだ。1986年、アルコートはクリネの管理を引き継ぐと、4年も経たないうちに、この毎回期待を裏切るシャトーをポムロルのヒエラルキーの最高位に押し上げた。どのようにしてそんなことを成し遂げたのか。まず最初に、摘み取りの日時と、醸造と、育成(エルヴァージュ)のスタイルに関して、有名な醸造学者ミシェル・ロランに全面的な責任が与えられた。これは、クリネができる限り遅くブドウを収穫するようになったという意味である。事実1987年からクリネは、ポムロルで一番収穫の遅い畑に入っている。次に、1982年のヴィンテージで初めて用いられた刈り取り機の使用が中止された。 その結果、1987年には、このアペラシオンを代表するだけでなく、ボルドーでも最高の2つのワインのひとつ(もうひとつはムートン=ロートシルト)が生まれた。その後、栄(は)えある1988年、有無を言わせぬ偉大なワインである1989年、1990年、1995年が次々に誕生した。アルコートはクリネのマセラシオンに1ヵ月も時間をかけ、同時にかつては高かったカベルネ・ソーヴィニョンの比率を15%以下に引き下げた。 こうしてクリネは、ポムロルだけでなく、ボルドー全体で最もエキサイティングな新しいワインのひとつになった。今ではこれを見つけるためならどんな努力でもしてみる価値がある。 講談社 『BORDEAUX ボルドー 第3版』 |
シャトー・クリネ Chateau Clinet
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