こんにちは!今年4月に入社した新入社員の梅田です!

6月にワイングロッサリースタッフ一同で、山梨県の勝沼町へ研修旅行に行きました。入社後、初めての記事をお届けします!

●研修スケジュール

1日目
・「勝沼4地区(菱山地区、勝沼地区、岩崎地区、笹子峠入口)」のドライブ巡り
・鳥居平今村へ訪問
【セミナーⅠ】鳥居平今村の歴史/所有畑ごとのテイスティング
・今村家テラスにてマリアージュ体験ディナー
・オールドワインが眠る地下セラー見学
 
2日目
・柏尾山:西側 菱山地区、南側 勝沼地区「柏尾山南方」「勝沼鳥居平」「上菱平」テロワール見学 
・勝沼トンネルカーヴ見学
・「上菱平」垂直テイスティング

◎1日目

 早朝に四条大宮駅からバスで出発、昼頃に勝沼町へ到着しました。(終始快適なバス道中でした((´∀`)))

しとしと雨が降ったりやんだりの現地に着くと、まず「ぶどうの丘」へ。併設されているレストランで、今回この企画をサポートしてくださったヴァンパッションの社員の皆さんと合流。バーベキューを楽しみつつ親交を深めました。

この時の勝沼町は、上着1枚を羽織ってちょうどよく過ごせるくらいに空気がひんやり!

●テロワール巡り&鳥居平今村に関するセミナー

 バーベキューを堪能した一行はその後、バスで菱山地区のテロワール巡りへ。わずかな標高の違いによる水はけの良し悪しがあること、「日川(ひかわ)」と呼ばれる川の近くは、沖積土壌で砂質であることなど、勝沼町一帯がどのようなエリアであるのかを説明していただきました。また柏尾エリアでは実際に畑を歩きながら

「今見ている方向の右から笹子下ろしが吹き降りていているんだよ」

「大善寺が視線の先のところにあって、あっちの左が鳥居平エリアだよ」

など説明を聞き、どういった過程や条件で鳥居平のワインが造られるのか、畑に立ちながら、その成り立ちを知ることができました。

 その後は「シャトー勝沼」にお邪魔し、セミナールームで鳥居平今村のセミナー。もともと鳥居平今村は1877年に「今村葡萄醸造所」として創業。勝沼最古、そして日本初の民間ワイナリーとして歴史を積み上げてこられました。戦前に始まり、長年積み上げた歴史の継承、系譜に圧倒されるばかりでした。

 現会長は、「勝沼繁栄の立役者」今村英勇さん。セミナーには、英勇さんの娘さんであられる今村英香さんにご登壇頂き、お話をしていただきました。今までは、店頭に並んでいる鳥居平今村のワインを飲んでいただけでしたが、そのワインを生産されている当主一家の方を直接お見受けした際は、大変貴重でとても印象に残る瞬間でした。

●地下セラーにもお邪魔しました!

 地下には、洞窟のようなセラーがあり、数えきれないほどのワインが保管されています。周りの騒音は一切遮断されており、ひんやりとした空気と地下に染み込む水の音が聞こえ、まるで映画のセットのような雰囲気のある空間でした。セラーには、遡ること1910年代のヴィンテージともなる古くから保管されたワインの数々がびっしりと並んでおり、「すごい、、」と思わず声が出ました。

●食事会で盛り上がる!

 食事会では英香さんにもご同席いただき、その前の試飲会で振舞われた鳥居平今村のワインに加え、ブルゴーニュワインやシャンパーニュも!美味しい食事と共に様々なマリアージュを体験しました。ワサビ和えのローストビーフや鳥の肝などは「菱山ルージュ」をはじめとする鳥居平ワインと合わせると、素晴らしいマリアージュでした。

◎2日目

●テロワール巡り

 2日目は、午前中から晴天に恵まれ、絶好なテロワール巡りでした。柏尾山の西側、菱山地区から始まりました。この地域の畑に沿う道は、急傾斜となっていて、歩いて登ると、少し息が切れるような所でした。そのような地域は、水はけがよく、キリっとしたスマートな味わいのワインが造られるのかな、と想像しながら歩いていました。

 下の写真は、菱山地区で「菱山ブラン」を試飲した時のものです。味わいは、酸が強すぎることはなく、甘すぎることもなく、サラッとしていて非常に飲みやすかったです。家でゆっくり飲むのとは異なり、少し汗ばみながら歩いて回った後に、葡萄が育った畑を目の前に飲んでみると、「まさにテロワール巡りの醍醐味だな」と思うと同時に、商品として完成された状態だけでは見えないけれど、ワインになるまでの道のりを見て学び、考えを深めることができました。

 次に、菱山地区から勝沼鳥居平へ山の麓に沿いながら歩いて、畑を見学しました。このあたりになると、「笹子下ろし」と呼ばれる柏尾山とその隣の中央道寄りにある山との間にある谷底のような経路に沿った、富士山からの冷涼な風が感じられます。スタッフのみんなも、「これが笹子下ろしか~」や、「涼しい~」などと実際に風を肌で感じていました。少々汗ばむ陽気だったこともあり、暑い夏に当たるクーラーのような心地よい笹子下ろしに「もっと吹いて~!」といった声もちらほら聞こえました(笑)

 勝沼鳥居平エリアを抜けると、次は柏尾山南方へ。歩いた道は舗装されていましたが、下を覗いてみるとかなり急な傾斜となっていました。その急斜面が鳥居平の畑となっており、実際にスタッフの方々が作業を行っていました。常に急斜面の地面で態勢をキープしながら作業を進める必要があるため、肉体的にかなりハードなことが伺えました。

●勝沼トンネルカーブ

 柏尾山南方を抜けると、下り坂で甲州街道に出ました。左手には大善寺があります。大善寺は「ぶどう寺」という名でも知られており、ご本尊の薬師如来像は、ぶどうを左手に持たれています。その大善寺を横目に過ぎながら、次の目的地である勝沼トンネルワインカーヴに向かいました。

 「勝沼ワインカーヴ」には、数多のワインが保管されており、手前が個人様向け、奥に企業様向けのものが置かれています。明治36年に建造され、そのままの姿をとどめているJR旧深沢トンネルを利用したワイン貯蔵庫です。レンガ積みの1,100mのトンネルは鉄道文化の遺産としても保存されています。年間を通じて温度6~14℃、湿度45~65%のトンネル内は、ワインの長期熟成にも最適な条件であり、約100万本を貯蔵することができるそうです。

【参考ページURL  https://www.yamanashi-kankou.jp/

 中に入ってみるととてもひんやりしていて、ワインの貯蔵に最適な温度!長さは1㎞ほどで、かなり昔から存在するとはいえ古い印象もなく、堅牢な造りでした。

●垂直試飲 上菱平圃場

 勝沼ワインカーヴを後にし、再びシャトー勝沼へ。最後のパートである「上菱平圃場」の垂直試飲が始まりました。上菱平圃場は、わずか0.2haのみの区画で造られる単一畑。粘土質に礫(れき)が混じるミネラル土壌で、標高が440mの場所の、「菱山鳥居平」地区の中でも最も南を向き、日当たりと水はけの良い斜面中腹に位置します。

☆これまでの鳥居平今村「上菱平圃場」に対する評価

・2013年、パオロ・バッソ氏により2007年ヴィンテージが、「優しさの中にもダイナミックな味わい。日本を代表する国酒」と絶賛される。

※パオロ・バッソ氏は、2013年に18年ぶりに日本で開催された世界最高峰のワインイベント「第14回A.S.I世界最優秀ソムリエコンクール」という世界中のソムリエがトップを競う大会で、見事グランプリに輝いた方です。

・2014年に、2008年と2009年ヴィンテージがJALの国際線ファーストクラスに採用される。

・2023年に行われたG7広島サミット2023にて、岸田総理大臣夫人主催ランチ会にて、各国首脳夫人たちに唯一の白ワインとして、2014年ヴィンテージが振舞われる。

 ↑これらの評価を見ても分かる通り、鳥居平今村「上菱平圃場」は、世界的に高く評価され続けている逸品と言えます。。。

 垂直試飲とは、同じ生産者の同じワインを、異なる生産年を複数揃えて、比較試飲することで、私は初めての経験でした!

 今回の上菱平圃場ワインでは、5つの年(2022/2021/2020/2018/2015/2014)をテイスティング。また、鳥居平今村のオールドコレクション「キュヴェユカ ブラン2004年」、「キュヴェユカ ルージュ2004年」に加え、特別試飲として、ヴィンテージコレクションである「鳥居平今村ブラン1990年」、「鳥居平今村ルージュ1977年」も頂きました。

以下、テイスティングした印象を紹介いたします。

〇上菱平圃場

・2022年と2021年…透き通るような、滑らかな感触。

・2020年…バランスが整っている。

・2018年…チャーミングな味わい。

・2015年…柔らかな果実味。

・2014年…強めな酸が印象的。

〇鳥居平今村キュヴェユカ・ルージュとブラン(どちらも2004年)

・キュヴェユカ・ルージュ…香りはふくよかで、鼻腔を刺激しすぎない優しい当たり。酸の強みはそれほどなく、こちらも構えず味を楽しめます。白身魚系にも合うんじゃないか、、?と思ったり。マッチョな筋肉タイプというよりは、内に強さは秘めつつもしなやかで柔らかな動きが存分に発揮されているバランスの良い赤ワインだなぁと思いました。個人的には、鳥居平今村のワインの中でこれが一番好みです。

・キュヴェユカ・ブラン…20年熟成されていることもあって、香りや味わいでお腹いっぱいになりました。香りはとてもまろやかで、リンゴジャムを感じさせる味わい、思わず香りで酔ってしまいそうな充足感があります。

 また、特別サプライズ試飲として鳥居平今村の1977年ルージュと、1990年のブランを開けて頂きました。そして、更なるサプライズとして、英香さんが前日の夜に地下セラーから取り出しておいて下さった貴重な一本をテイスティングさせていただくことに!「何年の物か当ててみてください」という英香さんの一声で、ヴィンテージ当てゲームが突如開催(笑)。グループ各に意見を出しあって回答を推理。1つのグループが見事に正解したので、会場も大いに盛り上がりました。まだまだ知識も経験も浅い自分も必死に考えましたが、思っていたよりも若いヴィンテージで、鳥居平のキュヴェのポテンシャルやセラーが醸し出した複雑さにあっけにとられてしまいました。ちなみに正解は、「1981年」でした!

・ヴィンテージコレクション ブラン1990年…34年前のものということもあり、かなり熟成した色合いで、香りも年代物を感じさせるものでした。また、このワインだけでなく、ヴィンテージコレクションのルージュやスペシャルサプライズワインでも感じたのですが、独特な感覚で、親近感が湧くというよりは、どこか距離を感じるような味わいでした。年の差を感じたのでしょうか、、。(笑)

・ヴィンテージコレクション ルージュ1977年…こちらは47年前のもので、タンニンや渋みが強く、キリキリとした印象でした。年代物ということもあって、色は深紫で、かざしてみると透き通るようなことは一切なく、漆黒に近いものでした。中華でいうところの回鍋肉のような、濃い味わいを楽しめるものと合うのかな~と思いました。

・ブラインドのワイン ヴィンテージコレクション ブラン 1981年…りんごや蜂蜜の香りが強かったです。また、渋みがありながらも高品質な味わいは失われていませんでした。何か食材と合わせるというよりは、ワインそのものを楽しむものとしてゆっくり味わいたいなと思いました。

●最後に

 今回の研修旅行は、ワインを学び始めたばかりの私には全てが刺激的で、多くの学びがありました。今村英香さんや、インポーターの方々、先輩方に、ワインを作る上で「なぜこのような味わいのワインが造られるのか」畑や土壌、地形や気候の条件などのレクチャーをしてもらい、ワインづくりにおけるリアルな一面を知ることができました。ワインといえばフランス、イタリア、スペインを思い浮かべることが多かったのですが、日本で造られている「鳥居平今村」という世界的逸品として認められているワインを、五感全てで感じとることができました!

 最後に、今回の研修をサポートしてくださった鳥居平今村の当主であられる今村英香様、河村大介醸造長、鳥居平今村の皆様、そしてヴァンパッシオンの皆様、貴重な機会を設けて頂き、ありがとうございました。すべての方々に心より御礼申し上げます。

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